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20代企業研究者のブログ

機械学習・経営理論から日頃の考え事まで,気になったものをまとめて発信

各企業の研究開発効率を可視化してみる

要約

  • 研究開発の効率が高い企業を見つけることができれば,その企業から学びを得ることができるのではないかと考えた.
  • 研究開発の効率が高い企業を見つけるため,研究開発効率を,(特許取得件数)/(研究開発費)として,自動車産業,携帯電話事業についてグラフ化し,比較した.
  • 研究開発効率が高いのは,自動車産業ではトヨタマツダ,携帯電話事業会社ではau と予想される結果になった.

研究開発の効率の高い企業を知りたい!

企業での研究開発には,効率(少ないコストで大きい成果をあげること)が求められます.

研究開発の効率化は単純な方法では失敗に繋がりやすく,難しい問題であると言えます.

例えば,確実に売上につながる研究テーマのみに絞るという単純な戦略をある企業が取った場合,短期的には成果が上がりやすくなるでしょう.

一方で,失敗を積み重ねることで初めて進出できるような新しい領域には踏み出せず,一般論として,長期的な競争力が失われます

 

イノベーションにはある程度の失敗を許容する必要がある,という点が,研究開発の効率化と,研究開発による競争力強化との両立を難しくしています.

 

そこで,私は,研究開発効率の高い企業を発見することで,その企業の研究開発のやり方を調査し,上手く効率化の方法を学ぶことができるのではないかと考えました.

 

研究開発の効率をどう評価するか?

効率は,アウトプット(成果)/インプット(コスト)で評価するのが良さそうですが,今回は,

  • 成果 = 特許取得件数
  • コスト= 研究開発費
  • 効率 = 特許取得件数/研究開発費

とすることとしました.

この尺度を採用する理由は,全企業で統一的に評価しやすいこと,及び,一般に公表されている数値であるため広範囲の企業を評価できることです.

 

研究開発効率の可視化

今回は可視化を行う企業として,自動車産業携帯電話事業会社を選びました.やはり馴染みのある企業でやった方が面白いかな,と思ったのが理由です.

各企業の特許取得件数は [1] ,研究開発費は [2] で調査しました.2015年度の数値を参照しました.

[1] IP Force 知財ポータルサイト 知財ニュース・特許事務所求人など

[2] 研究.net|理系研究職の情報サイト

可視化は,横軸を研究開発費,縦軸を特許取得件数としました.したがって,左上ほど研究開発効率が高く,右下ほど研究開発効率が低いことを示します.

(図1)自動車産業の研究開発効率

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(図2)携帯電話事業会社の研究開発効率

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読み取れること

研究開発効率の高い企業は?

(図1)からは自動車産業で研究開発効率が高い企業は,トヨタマツダであり,効率が低い企業は日産と読み取れます.図の上で,各企業およそ一直線の上に位置しますが,トヨタマツダは比較的左上に位置し,日産は右下に位置するからです.

同様に,(図2)からは携帯電話事業会社で研究開発効率が高い企業は,auKDDIであり,他2社はそれよりも効率が低いと読み取れます.

業界間の違いは?

(図1)(図2)から,自動車産業よりも,携帯電話事業会社の方が,全体として研究開発効率が高いことがわかります.おそらく,自動車産業の研究開発の方が大きなモノを扱うため,コストがかかりやすいのだろうと推測されます.

今後の課題

  • トヨタマツダauの研究開発について,業界内での特色を調べる.
  • 他業界でも同様の可視化を行う.
  • 海外企業も含めた可視化をする.
  • 評価方法を修正する.例えば,特許出願 → 取得には1年以上かかることもある.研究開発→特許出願→特許取得までのタイムラグを考慮した上で,当年の研究開発の効率を数値化する必要がある.
  • 企業の組織体系に対する考慮が必要.例えばdocomoは自社の研究開発部門の他に,NTT持株会社の研究所にも出資しているので,今回の様な単純な比較は不適切な可能性がある.

感想

やっぱり素人がこういう調査するのも難しいなぁという感触があります.もっと色々本を読んで勉強したら,適切な尺度がわかったりするのかなぁと思いました.