20代企業研究者のブログ

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恋愛工学の本を読んだ:他人と比べない生き方を

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恋愛工学の本を読んだ

ぼくは愛を証明しようと思う。

ぼくは愛を証明しようと思う。

 

友人の勧めで,以前から話題になっている,「恋愛工学」の本を読みました.

恋愛工学とは恋愛の方法論の一種のようです.私の印象では,特徴は

  • ゴールをたくさんの女性との恋愛関係に置いているところ.いわゆる清純なお付き合いではなく,肉欲的な恋愛のための方法論であるところ
  • 恋愛のプロセスを統計的に捉え,たくさんの女性にアプローチし,かつ成功確率を上げる方法論であるところ

だと思います.内容からして批判されてそうですね.私も正直肯定的には読めませんでした.詳しい内容や本の内容の是非は置いておいて,ここでは私の考えたことを書きます.

たくさんの女性と恋愛する幸せと,一人の女性を大切にする幸せの違い

恋愛工学を極めてたくさんの女性と恋愛する幸せ(仮にそれを幸せとした場合ですが)と,一人の女性を大切にする幸せの違いの1つは,自分の幸せを他人と比べやすいか,という点だと思います.

たくさんの女性と恋愛している人は,例えば,「今月で5人と恋愛関係になった.それは友人の恋愛よりも多い.だから,自分は友人より幸せ」という思考が(正しいかは別にして)可能です.

一方で,一人の女性を大切にする幸せについては,「それによって自分が今どれくらい幸せか」を他人と比べるのは難しいです.幸せが個人間の深い人間関係に基づくため,他のカップル・夫婦と単純な比較ができないからです.たくさん旅行に行っているからといって,自分たちの方が幸せとは限りません.どれくらい自分が,恋愛相手が幸せか,というのは,他人との比較からはよくわからないのです.

他人と比べやすいと,人間は安心しやすいです.逆に他人と比べにくいと,自分の努力や行動がどれくらい正しいのか判断しにくいため,不安を感じやすいと思います.テストの順位がわからないと不安で,わかったら安心する,という心理です.

他人と比べない生き方を

多くの他人が羨む人生を送れば,一見,こうした不安から逃れることができるように思えます.年収が高い,大企業に勤めている,たくさん恋人がいる,というような人生です.他人と自分を「年収」や「恋人の数」という尺度に乗せて,「自分は他人より上にいる」と判断することができれば,少し安心することができるかもしれません.

ですが一方で,人の幸せは心理的なものである以上,本質的には他人と比べられないものであることを理解する必要があると私は思います.例えば,自分が感じている「一人の女性を大切にする幸せ」「やりがいのある仕事に感じる幸せ」を他人と比較しようにも,心の中で起こることで,物には現れないので,比較しようがありません.自分が,日本中の夫婦の中で今何番目に幸せか,という問いには答えようがありません.

言い換えれば,他人より幸せになろう」とする限り,本質的な幸せの追求はできないと思います.自分の心に向き合って,自分が幸せだと感じる方向に,信念を持って行動することが必要です.

恋愛工学生(と呼ぶそうです)の方の多くは,不安から逃れようとしているのだと推測します.「自分が(本心から)幸せを感じる恋愛を自力で実現する」ことに対する不安です.なので,「他人よりたくさんの」「他人よりシステマティックな方法論で」恋愛をすることで,安心しようとしているのではないでしょうか.それが本当に自分の幸せに繋がっているのか,は棚上げされているような気がします.方法論に振り回されて,問題設定がぶれているとも言えます.「恋愛工学を通してやろうとしていることが,本当に自分の幸せなのか,目を逸らそうとしている不安がないか」を一度考えた方が良いんじゃないかな,と思った,というのが感想です.

恋愛工学,という言葉・アイディア自体は面白いと思った

とはいえ,恋愛工学,という言葉やそのアイディアは面白いなと思いました.例えば,幸せな家庭を築くための恋愛工学(統計的手法)という方法論は面白そうです.最近話題になっている産後クライシスや,離婚原因に関する正確な統計が今より充実し,それを防ぐ方法論が具体化して,既婚者のバイブル的なものが出版されたら,多くの人の幸せに繋がるんじゃないかな,とか考えました.

参考:恋愛工学に対する様々な批判まとめ

検索すると恋愛工学に対する批判記事がたくさんでてきておもしろかったので,参考に列挙してみます.

引用部分だけ読んでも,みなさん痛快です.

本一冊読むより,批判記事読んでる方がよっぽど勉強になりました.

「恋愛障害」についても興味が湧いて,調べて見たくなりました.