ブログにはエンタメ性が必要か
メッセージを伝えるには,2つの要素が必要
自分が発信したいメッセージがある時,いろんな人に伝えるためには,私は2つの要素が必要だと思っています.
1つ目は,メッセージそのもの.
2つ目は,それを伝える上でのエンタメ性です.
例えば,子供に戦争はいけない,というメッセージを伝えたいとします.
このとき,「戦争はいけない.なぜなら...」というような,評論を書いても,きっと読んでもらえないですよね.
なぜなら,多くの子供は堅い評論を積極的に読もうとは思わないからです.
でも,絵本の内容にメッセージを込めたらどうでしょう.
戦争の話に興味がない子供でも,絵本を楽しんで読む中で,そのメッセージに触れます.すると,興味がない子供でも,絵本を楽しむ過程で,戦争はいけない,というメッセージが心に残るかもしれません.
絵本の持つエンタメ性が子供の興味を引き付ける媒体となって,メッセージを伝えてくれます.
映画「ラ・ラ・ランド」を見た
先日,映画「ラ・ラ・ランド」を見ました.
6部門でアカデミー賞を受賞したことで話題になった作品です.
多くの映画は,
メッセージ(ストーリ)+エンタメ性(ストーリ・ジョークなど)
というように,ストーリがメッセージ性も,エンタメ性も持つことが多いと思います.
観客を楽しませるために,伏線を回収したり,どんでん返しがあったりと, ストーリはある程度複雑になります.その複雑なストーリの中に,例えば「戦争はいけない」「努力は大事」といったメッセージも込められ,観客に提供されます.
一方で,「ラ・ラ・ランド」は,
メッセージ(シンプルなストーリ)+エンタメ性(ミュージカル)
というように,ストーリとミュージカルの役割分担がはっきりしているように感じました.
映画「ラ・ラ・ランド」のメッセージは,「諦めず,夢を追え」だと思います.
この映画のストーリ展開は極端にシンプルです.登場人物が夢を叶えるストーリーですが,その過程はほとんど描かれません.登場人物の男女の恋も最後は終わってしまうのですが,恋が終わった理由も描かれません.男女二人の登場人物の会話だけでほとんどストーリが描かれ,それ以外の登場人物は関与しません.
ストーリがシンプルなので,ストーリだけでは面白くありません.
ですが,ミュージカルの持つエンタメ性のおかげで,楽しんで見ることができます.
そして,ミュージカルとして映画を見終わったとき,ストーリ展開がシンプルな分,メッセージが明確に印象に残ります.
この点が他の映画にはない特徴だと感じました.
「ラ・ラ・ランド」はミュージカルという方法論で,多くの人にメッセージをシンプルに伝えることができる作品,と自分の中では捉えています.
ブログを書く人間として
私もブログという,作品と捉えられなくもないものを書いています.
当然伝えたいメッセージがあるわけですが,メッセージについてだけ一生懸命長文を書いても,興味ない人にはやっぱり伝わらないのではないかと思います.
ラ・ラ・ランド的方法論として,メッセージはシンプルに文章で表現して,別の方法でエンタメ性を持たせる,というのもいいかなと思いました.
例えば,普段の生活では聞けないような,人間の(珍しい/恥ずかしい)内面を吐露する,挑発的な文章を書く,漫画的に書く,ジョークを交える,,などでしょうか.
つまり,ブログを書く人間には,2つの要素が求められる,と考えることもできます.
- 自分は何を伝えられるのか(メッセージ自体の価値)
- 自分の文章でどうやって人の興味を引きつけられるか(エンタメ性)
メッセージを受け取る人間として
メッセージの受け取り方(知識の付け方)にも2種類ある,と言えないでしょうか.
- 自分の好奇心から(メッセージドリブン)
- エンタメを鑑賞する中で,偶発的に(エンタメ性ドリブン)
メッセージドリブンだけでは,情報収集範囲がどうしても自分の興味の範囲に限定されます.
エンタメ性ドリブンでは,作品を鑑賞する中で,偶発的に作者のメッセージを受け取ります.意図していないメッセージを受け取るので,自分の興味の範囲に限定されない情報収集と言えます.
私はエンタメの鑑賞は,最近すごく大事だと考えるようになりました.自分の興味の幅が広がっていくのを感じるからです.自分の興味の範囲を追求するだけでなく,「戦争はいけない」というメッセージを受け取れる子供でありたいからです.自分の知らないことを知っている誰かが行う情報発信に,触れる機会を増やしたいからです.