仕事ができる人はなぜモチベーションにこだわらないのか
本を読んだ
仕事ができる人はなぜモチベーションにこだわらないのか (幻冬舎新書)
- 作者: 相原孝夫
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2013/03/29
- メディア: 新書
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仕事をする上では,モチベーション(やる気)に左右されない,安定感のある働きかたが大切だ,という提言をする本です.
一般には,むしろ「モチベーション高く働くのが理想」というイメージがあると思いますが,それに対し,疑問を投げかけます.
「朝から晩まで,自分が興味がある業務をやれる!」という状態を目指すより,「仕事は基本的に面白くないけど,きちんとやる.時々面白い時があるから,そういうときは楽しんで取り組む!」という安定した状態を目指しましょう,ということです.
なぜモチベーションを重視しない方がいいか
答えは,「モチベーションを高めようとすることに労力をかけるよりも,モチベーションが低い時でも成果を出すことに労力をかけた方が,効率よく成果につながるから」です.
モチベーションを高めようとすることに労力をかけない方がいい理由は,次の2つです.
- 現実的には,会社組織の中にいると,個人的興味にあった仕事だけをすることは難しいから
- モチベーションはプライベートなどの些細なことで下がるので,高く維持するのは難しいから
1. 現実的には,会社組織の中にいると,個人的興味にあった仕事だけをすることは難しいから
会社組織には,利益を上げる,社会に貢献するなど,組織自体の目的があります.競争もあります.なので,数多くの従業員の個人的興味全てに同時に答えるために組織を運営するのは難しいです.
つまり,会社組織にで働く以上は,個人的興味に合わない仕事(=モチベーションの低い仕事)もしなきゃいけないのが現実だよね,という意見です.
筆者の経験では,個人的興味にかなった業務を継続できる職種はごく一部だそうです.なので,世の中の全ての人がそういう仕事を追い求めるのは難しいだろう,という話です.
2. モチベーションはプライベートなどの些細なことで下がるので,高く維持するのは難しいから
モチベーションを下げる要因には,身体的不調やプライベート・家庭での問題など,些細なものがあります.
もし仮に理想の仕事に就くことができたとしても,家庭で喧嘩をした日や,残業続きの日には,やっぱりモチベーションを高く維持することは難しいでしょう.
モチベーションが下がることがあることは諦めて,むしろ,そういう日でもきちんと仕事ができるように工夫した方がよい,と説きます.
ちなみに,モチベーションが低い業務については,工夫として,習慣化・ルーチン化がオススメされています.
例として,剣道教室に通う筆者の息子が紹介されています.
「今日は稽古に行きたくない」(=モチベーションが低い状態である)息子が言う時に,息子に対し,「稽古に行ったらどういういいことがあるか,説得する」(=モチベーションを高めようとする)よりも,「とりあえず連れて行って,稽古を開始させる」(=とりあえず行動を開始する)方が,よっぽどモチベーションが高まりやすい,という例です.
モチベーションが低い業務の存在は仕方がないので,その業務については,行動をルーチン化し,「嫌だ」という気持ちと向き合う必要を最小限にしましょう,という発想です.
おわりに
読むのには3時間40分ほどかかりました.すごく勉強になりました.
私自身の反省として,「モチベーションが低い業務だから」を理由にして,一部の業務に手を抜くことが自分にもあったと気づきました.これからは,「やりたくなくても,やるべき仕事はきちんと完成度を高める」ことを徹底したいと思います.そうした方が,周りの信用も得られて,将来的にやりたい仕事が続けられるようになる気もします.
この本の対極の考え(モチベーション中心に仕事をするのが理想である,と言う考え)として,「モチベーション3.0」があります.こちらもamazonで注文したので,読んだら記事を書きたいと思います.
モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか (講談社+α文庫)
- 作者: ダニエル・ピンク,大前研一
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2015/11/20
- メディア: 文庫
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また,そもそも,なぜ私たちは「モチベーション高く働かなければならない」と思ってしまうか,についても筆者の考察が面白かったので,次の記事で書きたいと思います.