新人時代に受けたパワハラとその後の影響の話
楽しかった学生時代,入社後の地獄を経て,ブログを書くくらいには前向きに生きられるようになるまでを簡単にまとめます.
入社後しばらくの自分の状態は,鬱や学習性無力感に近かった気がします.世の中こういう話が意外と多いんじゃないかな.同じ境遇の人の支えになれば嬉しいです.
よかった頃:順風満帆な学生生活
私は修士卒の企業研究者(3年目)です.
学生時代は,
- 教授と,学生同士の議論・コミュニケーションが楽しい.
- 研究が楽しい.成果が上がる(国際会議に通ったり,学会で受賞したり)
- 研究のみでなく,経営学・心理学など,興味の向くままに勉強する意欲があり,成長できた.
と,いわば順風満帆な生活でした.自身にも満ちていました.勢いで彼女までできました.
今思うと,研究能力のみでなく,人間としてよくできた教授に指導していただいたことが自分にいい影響がありました.「失敗を責めずに,努力を見つけて具体的に褒める」ことを徹底していらっしゃる先生で,今思いかえすと,それは「コーチングのスキルがあった」ということだったんだと思います.
目からウロコのコーチング―なぜ、あの人には部下がついてくるのか? (PHP文庫 は 46-1)
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一転して地獄:パワハラに苦しんだ新人時代
一転,私の社会人1~3年目は,地獄でした.
一番の大きな原因は,指導者からのパワハラです.
- 業務に付随するコミュニケーションがパワハラ・ストレス.
- 研究を進めることでコミュニケーションの機会が増えることが怖くなる.研究を進めなくなる.
- 業務以外のことを勉強する意欲が湧かない.成長しなくなった.
という状態でした.2年半でほとんど本も読みませんでした.
どのようなパワハラだったかというと,
- 私のプレゼンや論文に細かいミスを見つけ,執拗に繰り返し,周囲に聞こえる大きな声で非難する.
- 同僚の席に行き,私のミスについてグチを言う.後から,同僚からその内容を教えられる.
- 質問しても,その日の機嫌で理不尽な応えを返される.
何よりきつかったのが,自分のラインにはこの指導者しかおらず,他の人を頼れない状況だったことです.
パワハラの影響:意欲の低下
- 研究業務そのものに対する意欲・熱意がなくなった.
- 積極性がなくなった.余計なことをして,ストレスを感じるよりは,なるべく何もしないで過ごすことを選ぶようになった.
- 業務に関する細かい疑問点も,質問せずに流すようになった.
- 休日も業務のストレスが頭から離れず,プライベートの意欲もなくなった(ベッドでYouTubeでコントばっかり見てました.ありがとう,東京03.).
転機:上司の異動,友人との再会
今回の私の話で特徴があるとすると,上記のような周囲の状況,自分の状態に少し良い変化が生じたことです.要因は2つありました.
- 私・指導者の上司が変わった.上司から指導者へ指導があり,指導者の態度が変化した.コミュニケーションのストレスが減った.
- 大学の友人と久しぶりに会い,刺激を受けた.
1.は幸運でした.指導者は,ミスを執拗に責めることをやめ,私にある程度の裁量を与えて,放置してくれるようになりました.この変化によって,コミュニケーションのストレスが減り,業務に関する疑問点くらいは,問題なく質問できるようになりました.
また,同じ頃に,2.の影響も受けました.この大学の友人は,就職後もブログを更新したり,本を読んで学習したりしているという話をしてくれ,刺激を受けました(学生時代の私にとっては,自己研鑽をするというのは当たり前の話だったはずでしたが,私はこの時初めて,自身の意欲がかなり低下していることに気づきました).この友人と再会した後は,休日は業務のことを忘れ,読書やプライベートに時間を使うことを意識するようになりました.
今後:社内異動か,転職か
状況が少し好転したとはいえ,結局は自分のラインには件の苦手な指導者しかおらず,相変わらず余計なコミュニケーションを取ろうとは思いません.トラウマのような状態で,いくら今のコミュニケーションが表面上,上手くいっているとしても,根底の不信感はぬぐえません.とても成長するのにいい環境だとは思えず,今の職場は早々に離れようと思っています.
幸運にも社内異動を交渉する機会があったので,今はその交渉を進めています.交渉が失敗したら,転職しようと思います.その時は,もう研究はやめようと思っています.
もし過去の私と似たような状況の方がいらっしゃったら,お願いしたいことがあります.それは,
少しでもメンタル不調を感じたら,早めに第三者に相談すること
です.第三者は,職場の状況を理解できて,かつ本心を全て話せる人が理想です.
パワハラに会うと,人間は必要以上に順応しようとする場合があります.過去の私も,早期に転職するのが正しい判断でしたが,一人ではその決断をすることができませんでした.一度客観的で冷静な判断を参考にすることが大切だと感じました.
研究者が決算書の読解に挑戦する
企業研究者に求められるものは多様かつ専門的
企業で研究をされている方の悩みの数々には,推し量るべきものがあります.
- 東芝は経営破綻で,有力だった研究所も縮小しているけれど,うちの会社では,自分の研究分野はいつまで存続されるだろうか.
- Googleのような圧倒的予算・人材を持つ研究所や,大学のような基礎力を持つ研究所には研究レベルで敵わない.一方,業界内のベンチャーにも,スピードで正直敵わない.うちの会社は業界内でどのように差別化戦略を取るべきだろう...
そうです.
企業研究者に求められるものは,技術分野の専門知識のみではありません.
業界マップを正確に理解・アップデートし,自社の取るべき技術戦略を提案するなど,情報収集能力や経営戦略に対する知識も求められます.技術戦略提案のプレゼンから,独自技術の特許申請・学会発表までこなす,いわば知の総合格闘技のような業種と言えます.
かといって,上に書いたような悩みを解決する研修を企業が実施しているかというと,十分ではないという印象があります.特に,業務で必要になる技術知識の獲得は十分でも,当面使用しない経営知識が獲得できていないという同僚をよく見かけます.
企業研究者のスキルアップのために:決算書を読む,という提案
かく言う私も,同業他者のポジションなど全く考慮せずに,これまで3年間,的が外れた研究テーマを考案し,取り組んできました.このままではまずいなぁと思っていたところ,立ち寄った書店で「100分でわかる!決算書「分析」超入門2017」のタイトルが目に止まり,興味からそのまま購入しました.
図解や例えが多く,わかりやすいのが特徴です.事前知識のほとんどない私でも,十分に理解することができました.
映画一本文(100分 )の時間で読める,というこの本ですが,内容がわかり安く,面白かったので2度読み直し,結果として合計4時間ほど費やしました.
そもそも決算書を読めることが,どのように企業研究者のスキルになり得るか?という疑問に答える必要があるでしょう.私の考えでは,
- 経営破綻前のSHARPや東芝の決算書を読み取る
→ 自分の会社が今,経営的に安全か危険かを判断する1つの方法になる - 同業他社の決算書を読み取る
→ 技術面のみでなく,経営面からも業界マップが描けるようになる
の2点で役に立つと考えています.
例えば,「SHARPは債務超過になる3年前に,5000億円規模の赤字を出していた」ことがわかれば,自社の純資産がSHARPよりも多く,かつ今年黒字であったことを確認し,少なくともあと2年程度は経営に不安はないだろうと判断できるかもしれません.
また,「同業他社の営業利益・研究開発費が自社よりも10倍大きい」ことがわかれば,既存製品の単純な性能向上では他社に負ける可能性があるので,自社は独自性のある技術を提案した方がいい,と判断できるかもしれません.
このように,決算書を読むことは,企業研究者にとって,現状分析の視点を1つ増やす効果があると考えています.
書籍の内容と効果
くり返しになりますが,今回読んだ本は,図解や例えが多く,非常にわかりやすかったです.「流動資産→脂肪」,「固定資産→筋肉」,「純資産→骨格」などと経営を人体の運動に例えることで,直感的な理解をサポートしてくれます.
また,最終章では,SHARP,オリエンタルランドなどの有名企業の決算書を例に,実際に解説があるのも特徴的です.ここまでくると,色々な企業の決算書を読むことが楽しくなってきます.
すでにあった効果としては,副次的なものも含めて
- 「売上総利益」「営業利益」「経常利益」などの用語の区別を直感的に理解することで,経済ニュースに対する苦手意識が小さくなった
- 同業他社の経営規模が理解でき,戦略に活かせた
- 自社の経営規模が大きく,安定したものであることが客観的に理解でき,無用な不安がなくなった
- 東芝の今期の決算発表が待ち遠しくなった( ̄ー ̄)
- 確定拠出年金に興味が湧いた
といったところでしょうか.
あなたも息抜きに,ちょっと違う勉強をしてみてはいかがでしょうか ^^
イジりは(大げさに言えば)人権侵害では
基本,人間はイジられると不快感を感じるものなのではないかと私は思っています.
「イジられて笑いが取れた,イジってくれてありがとう!得した!」なんて思う人は,主に関西出身の一部の人くらいじゃないでしょうか.
私は生まれてから18歳高校卒業までを兵庫県で過ごして,大学入学以降はずっと関東で過ごしています.関西人ですが,私はイジられるのは不快に感じます.
また,これまで,「関西人が周囲をイジって,主に関西以外出身の人が微妙な顔をしている」という構図を度々目にすることがありました.この罪深く無知な関西人は,本当に,「イジられた側も,笑いが取れてラッキーやろ.場を盛り上げてる俺カッケー」くらいにしか思っていないことがあります.
「バックグラウンド(例えば出身地)の異なる相手が,異なる価値観を持っている可能性を考える」ということを教育されなかった結果かもしれません.ぜひ,持ち前のコミュ力で,別の方法で場を盛り上げて欲しいものです.不快な気持ちにさせるくらいなら,場を盛り上げていただかなくても結構です.
イジりの問題の根源は,
「相手がイジられて不快に感じるかどうか,確認するのが困難」という一点であるように思います.ある程度仲が良い相手でも,相手に不快感を伝えるのは勇気がいるものです.私も,「イジられるのもしかして嫌いなん?」と聞かれても,「うん,前からイヤやった」とは答えられない気がします.また,出身地で区別するのも正しくありません.なぜなら,(私のように)関西人でも不快感を感じる人がいるからです.
私は,バックグラウンドによって価値観が異なり,それを確認するのが困難な場合は,なるべく多数の人間の不利益にならない方向に倒すのがマナーではないかと思います.
今回のケースで言えば,出身地や個人の価値観によってイジられることを不快に感じる人がいて,それを事前に確認するのが困難であるため,(相手が不快感を感じる可能性を考慮して)イジるべきでない,ということになります.
まぁ当然ですかね.
(相手がLGBTであることをカミングアウトしていない場合を考えて,LGBTが不快に感じるであろう性的発言をしない,とかも同様です)
※誰かをイジって不快にさせて、「イジりが嫌なら言えばいいのに」と思うのは、ゲイを笑いのネタにして不快にさせた上で、「嫌ならカミングアウトすればいいのに」と思うのと似ていると思います。不快感を感じだと伝えるに耐える信頼感が当事者間にあるかどうかを、一方的に判断すべきでないからです。というのがタイトルの趣旨です。(3/22追記)
下記の記事には,「いじり」が関西土着のコミュニケーション方法なのではなく,テレビ発祥であることが説明されています.プロのタレント同士の,事前に打ち合わせのあるコミュニケーションと,一般人同士の,生のコミュニケーションとの混同に起源のある摩擦であると言えそうです.
人をイジる側の方は,テレビの真似をする前に,「バックグラウンドの違いの可能性を一度考える」という行動をとる必要があります.
また我々の側も,「イジる」という行動が不適切な場合があることには確信を持ちながら,対応する必要があります.
まぁなんでこんな記事書いてるかというと,久しぶりに関西人にイジられて,不快な思いをしたからなんですけどね.
企業研究所の役割とは
ニュースを見ていると,有名企業がベンチャーを買収した,というのをよく見かけますよね.
企業研究者として私が3年前に入社した頃は,企業研究所は独自技術を生み出し,イノベーション・商品競争力の源泉になることがミッションなんだろうなぁと想像していました.
ですが,新規技術はベンチャー・大学から買収,という流れをよく見るにつけ,
「企業研究所の役割って何なんだろう?」とよく考えます.
みなさんはどう思われますか?
「企業研究所 役割」で検索してみると,色々と記事が見つかります.テーマとしては定番なんでしょうね.若いうちに,一度情報を整理してみる価値がありそうです.
検索結果から,10個くらいの記事を斜め読みしたところの感触としては,
という流れがありそうです.
# 安定して給料もらいながら基礎研究やりたくて就職したんだけどなぁ...
企業研究所の役割について,時代の流れ,国内外の対比などを整理してみようかな.
時間があるときにやってみます.
大前研一と考える“日本企業が「技術」を「商売」につなげる戦略”【大前研一のケーススタディVol.27】 (ビジネス・ブレークスルー大学出版(NextPublishing))
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- 発売日: 2017/01/27
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変貌する中国経済と日系企業の役割 (21世紀政策研究所叢書)
- 作者: 渡辺利夫,二十一世紀政策研究所=,21世紀政策研究所,大橋英夫
- 出版社/メーカー: 勁草書房
- 発売日: 2012/07
- メディア: 単行本
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ゼロ秒思考の本を読んだら,割と使いこなせるようになった
ゼロ秒思考が上手く行かず,本を読むことにした
前回の記事(ゼロ秒思考が続かない - 20代企業研究者のブログ)では,
思考整理の方法として,
- webで情報収集して,ゼロ秒思考にトライしてみた
- 意外と時間がかかる,他人の目が気になる,の理由で,上手くいかなかった
- webのみでなく,書籍を購読してみる必要がありそう
という紹介をしました.
...早速,ゼロ秒思考の本を購読してみました.
購読の効果
購読したところ,奨励されるメモ書きの実施方法として,
★メモ書きは,「毎日決まった時間・決まった場所」で行うのではなく,
原則,「アイディアがひらめいた瞬間・その場」で行うのが効果的
という点を新たに理解することができました.
行動は以下のように変化しました.
○(書籍購読前)14日中2日実施
- 毎朝,家で全てのメモ書きを実施しようとしていた
- 朝,十分な時間が取れず,実施できない日が多かった
○(書籍購読後)14日中6日実施
- 「業務の段取りが目的:その都度,職場でメモ書きを実施」,
「心の整理が目的:帰宅後,自宅で実施」で区別した - 時・場所を柔軟に設定することで,実施率が上がった
一読のススメ
「webで調べてゼロ秒思考を実践したけど,上手くいっていない」という方は,一読の価値ありだと思います.上記以外にも,背景の思想の説明や活用事例が充実しており,参考になります.
私は,通読には2時間半程度かかりました.読みやすい本だと思います.
その他感想
- 湧き出る思考を具現化するだけで効果がある,という方法なので,ある程度論理思考ができる人が想定されていると思います.
- 手書きがオススメされていますが,私はPC(power point) でやっても効果があると思います.(長所:電車など,実施場所が比較的自由,保存が簡単,短所:図が高速に書けない)文章のみの記述をする場合は,PCでも問題ないと思います.
- 手書きのメモを保管するのが面倒なので,私は今の所メモは全て捨てています.職場でスキャン+自動カテゴリ分類とかできたらなぁ...
ゼロ秒思考が続かない
話題のゼロ秒思考をようやく始めてみて,2週間になりました.
「頭がよくなる」と書いてあったので飛びついたものの,本を買うお金と時間はケチり,先人たちのブログ情報のみを頼りに始めました.
(似たような人,意外と多いんじゃないかな…)
…が,結果は全く続かず.
「毎朝仕事前に思考を整理しよう!」と最初は張り切っていましたが,
なんと14日中2日しか実施できませんでした.
続けにくいな,と感じている要因は,
- 自宅でしか実施できない(職場ではちょっと恥ずかしい…)
- 効果をまだ実感していない
- 意外と時間がかかる(最低15分 = 1.5分/枚 x 10枚)
です.
対策を考えるために,「ゼロ秒思考 続かない」で検索したりしたのですが,
上手くいってる記事しか出てこない…
結局,本を読んでないから,やりかたを正しく理解してないのが原因なのかなぁと反省中です.
本買って実践してみたら,また感想書きますね.